「ストレスを味方につける」方法

脳科学から見たものとのことです。

 以下、ネットニュースより抜粋。

「上司が理不尽だからストレスがたまりっ放しだよ…」「ストレスで体調を崩しちゃった…」というように、なにかと「悪者」扱いされがちなストレス。

しかし、脳の研究をさまざまな分野に生かす応用神経科学者である青砥瑞人さんは、扱い方次第で、ストレスは「自分を成長させてくれる大切な養分」にもなってくれるといいます。その「扱い方」とは、いったいどういうものでしょうか。

■生存に欠かせないからこそストレスは備わっている

多くの人が、ストレスとは「よくないもの」だとネガティブに考えているはずです。でも、みなさんにこんな経験はありませんか? 学生時代の試験前夜や、納期が迫っている仕事に追われているときに、「やらなければ!」という気持ちからいつも以上に集中できてなんとか乗り切った―というようなことです。

そんなときは、たしかに「やらなければ!」という焦りからくるストレスを感じています。でも、その結果はどうかというと、パフォーマンスが高まり試験や仕事がうまくいったことが多いはずなのです。これは、ストレスが自分を成長させてくれて、いい方向に導いてくれたことに他なりません。

そもそもの話になりますが、ストレスとは、人間が生存するために必要であり重要だからこそわたしたちに備わっている仕組みです。ストレスは、基本的に負の感情に伴って生じます。負の感情というと、恐怖もそのひとつです。恐怖を一切感じなかったとしたらどうなるでしょう? 凶器を手にした不審者が目の前にいるのに、恐怖を感じずになにも行動を起こさなければ、自分の身に危険が及ぶことになってしまうでしょう。

ですが、実際はそうではありません。恐怖がストレスを引き起こし、そのストレスを回避しようと交感神経が働いて、「闘争反応 or 逃走反応」という反応が起きます。そうして、自分にストレスをもたらす不審者と戦ったり、不審者から逃げたりという行動を起こすことで、わたしたちは大切な自分の命を守っています。

■わたしたちを苦しめるふたつのストレス

もちろん、ストレスのなかにはわたしたちを苦しめるものもあります。そういった避けるべきストレスのひとつが、「過剰なストレス」です。過剰なストレスは、脳の前頭前野という部分を機能不全にしてしまいます。

前頭前野の一部は、意識的な注意や思考という重要な役割を担っています。その前頭前野が機能不全におちいるのですから、仕事において重要な思考ができなくなり、思考停止状態を招きます。

もうひとつの避けるべきストレスが、「慢性的なストレス」です。長い時間にわたってストレスを受けると、脳のなかにはコルチゾールというストレスホルモンが分泌され続けることになります。

そして、そのコルチゾールが脳の海馬という部分を萎縮させてしまうのです。その結果、うつ病の発症につながるということも近年の研究でわかってきました。うつ病になってしまえば、ベストな仕事ができるはずもありません。

この慢性的なストレスはなかなかやっかいです。というのも、わたしたちは無意識のうちにも慢性的にストレスを受けているからです。会社で上司に厳しく叱られてストレスを感じた。そのことを帰りの電車のなかで思い出してまたストレスを感じた。帰宅してパートナーに愚痴をいって慰めてもらおうと思ったら、「そんな話やめてよ」といわれてまたストレスを感じた。ベッドに入ってからもそれらのことをまた思い出して…というようなかたちで、ストレスはどんどん慢性化していきます。

■「ストレスは悪いものじゃない」という意識を持つ

では、そういった避けるべきストレスにどう対処すればいいのでしょう。キーワードとなるのは、「気づき」です。自分がストレスを受けていることに気づくことができたなら、それらを手放すことができるからです。

先の例のように、ストレスを感じたことを思い返せば思い返すほど、脳のなかに強い記憶として書き込むことになります。そうしてストレスは慢性化していくわけですが、そこで「あ、自分はいまストレスを感じているな」と気づけたとしたらどうですか?

ストレスを引き起こしたこととは別のことに対して意識的に注意を向け、ストレスを手放すことができるはずです。

そこで、ストレスを手放しやすくするために「紙に書き出す」という方法をおすすめします。なんらかのストレスを感じたら、それらを一つひとつ書き出すのです。ストレスの要因は、紙に書き出して俯瞰してみると「なんだ、大したことじゃないな」と思えることも多いものです。

もちろん、ストレスの原因が明確化されることで逆にストレスを強めてしまうケースもあるのでベストの方法だとは一概にはいえませんが、多くの場合に有効な方法だと思います。そして、もっとも大切なのは、「そもそもストレスは悪いものじゃない」と意識することです。

このことについては、スタンフォード大学での研究がエビデンスとなります。その研究では、わたしがこれまで述べたような、「ストレスは悪いものじゃない、勉強の効率を高めることもある」といった講義を受けたグループとそうでないグループそれぞれにおいて、その後にストレスを受けたときのストレスからの回復度合いや、テストを受けたときの学習効果を調べました。その結果、ストレスからの回復が速く学習効果が高かったのは、もちろん「ストレスは悪いものじゃない」という講義を受けたグループです。

■自分の体験を振り返る習慣がストレスを味方にする

つまり、この記事を読んで「ストレスは悪いものじゃない」と知ったみなさんは、自分を苦しめるストレスをうまく回避するための一歩をすでに踏み出したといえます。

でもじつは、それだけではちょっと不十分です。一時的に「ストレスは悪いものじゃない、いいものだ」と思っただけでは、その情報は脳にしっかりと書き込まれないからです。自分の体験をもとに脳に記憶として学習させてはじめて、ストレスを受けたときにその記憶をもとに脳がストレスからの回復を速めてくれたり学習効果を高めてくれたりするのです。

そのように「ストレスは悪いものじゃない」と脳にしっかりと書き込むためには、冒頭の例に挙げた、ストレスによって試験勉強や仕事を頑張れた、パフォーマンスが高まったといったというような、ストレスが自分を助けてくれたという体験を習慣的に振り返ることが重要となります。

そういう意味では、1日の終わりを大切にしてほしいと思います。いまは、外界に刺激的なシグナルがあふれているために、自分の内側の世界に注意を向けることが激減している時代です。朝起きたらスマホを見て、通勤電車のなかでスマホ、昼休みにスマホ、仕事が終わってスマホ、寝る前にスマホ…と、ずっと外側だけに注意を向けて過ごしがちです。

でも、それではストレスが味方をしてくれた体験を脳に書き込むことができません。ですから、せめて1日の終わりの時間くらいはスマホなどを手放し、自分の内側に注意を向け、ストレスが味方をしてくれた体験を振り返ってみてください。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹

青砥瑞人

マイナビニュース

 

昔、介護の勉強をしていた時、教科書の中に「ストレスは人生の最高のスパイスだ」という言葉がありました。

自分の中にとても印象に残ったようで、このような記事を読むと思い出します。

何でも、程よい程度がちょうど良いのだなと思うようになりました。

感謝してます。

りくりとりっぷホームページ:http://rikuritrip.net/

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