マンガ「はたらく細胞」は、分かりやすいと話題になっていると聞いたことがあります。
以下、ネットニュースより抜粋。
■タイトルが絶妙
『はたらく細胞』の英語タイトルはCells at Workなのですが、これは英訳として絶妙! 筆者は感動してしまいました。
cellが「細胞」という意味の単語で、at workというのは「勤務中」「作業中」という熟語。身近な例では、「工事中」の標識にMen at Work (作業中の人たちがいます)というのがありますが、まさにそんな感じで「細胞が働いています」というニュアンスがよく感じられる訳だと思いました。
at work
勤務中で、作業中で、運転中で
Men (People)
at Work
工事中
(〔直訳〕作業中の人がいます)
Cells
at Work
『はたらく細胞』
(〔直訳〕働いている細胞たち)
ちなみに、Men at Workはmenと男性だけを表していて「性差別的だ」という指摘もあり、近年ではPeople at Workという表現に変えられるようになったのだとか。
もちろん、このat workという表現は「仕事中」という状態を表すだけでなく、単に「仕事場で」と場所を表すときにも使うことができます。このときもworkには何もつけないのが普通です。at the work やat my workという言い方は不自然で、myやtheをつけるのであれば、at the officeやat my workplaceのように言いましょう。
I’m at work. (いま仕事中です、いま職場にいます)
See you at work! (また職場でね! )
■主要登場人物を英語で
『はたらく細胞』にメインで登場する「赤血球」と「白血球」「血小板」を、まずは英語で見てみましょう。
赤血球
Red Blood Cell
白血球(好中球)
White Blood Cell (Neutrophil)
血小板
Platelet
「赤血球」と「白血球」は日本語と近いですよね。「血球」がblood cell(〔直訳〕血の細胞)で、それにredやwhiteをつければOKです。
白血球は、「顆粒球」「単球」と「リンパ球」に分類され、「顆粒球」の中に「好中球」「好酸球」「好塩基球」の3種類があるそうです。『はたらく細胞』で「白血球さん!」と呼ばれているのが「好中球」で、これはneutrophil /ˈnjutrəfɪl/(ニュートラフィウ)と言います。血小板はplatelet /ˈpleɪtlət/(プレイッレットゥ)と言いますが、初めて聞いたという方も多いかもしれませんね。
コミックでは、それぞれの役割が簡単に説明されていますので、日本語と英語の両方で見比べながら読んでみましょう。「赤血球」の説明がこちらです。
ヘモグロビンは英語ではhemoglobin /ˈhiməɡloʊbən/で、「ヒーマグロウブン」のように発音します。oxygen /ˈɑksɪdʒən/(アクセジュン)「酸素」とcarbon dioxide /ˈkɑɚbən daɪˈɑksaɪd/ (カーブン・ダイアクサイドゥ)「二酸化炭素」は頻出単語なので覚えておくと便利だと思います。
■「白血球(好中球)」
次に「白血球(好中球)」を見てみましょう。
substance /ˈsʌbstənts/ (サブスタンス)は「物質」という意味で、foreign /ˈfɔrən/ (フォーレン)がついてforeign substance「異物」という意味になります。「細菌」を表すbacterium /bækˈtɪriəm/ (ビャクテリアム)ですが、複数形になるとbacteria /bækˈtɪriə/ (ビャクテリア)とsの付かない形になるので覚えておきましょう。日本語で「バクテリア」と言っているのは、実は複数形なんです。これはdatum – data 「データ」やmedium – media「媒介」、spectrum – spectra「スペクトル」などと同じですね。
皆さんが最近よく耳にする「ウイルス」は、英語では発音がvirus /ˈvaɪrəs/ (ヴァイラス)となるので注意しましょう。上記の説明には登場しませんが「ワクチン」も英語ではvaccine /vækˈsiːn/ (ヴァクシーン)という発音なので、一緒に覚えておきましょう。
「血小板」の説明にあるblood vesselは「血管」の意味ですが、このvessel /ˈvesəl/ (ヴェスォ)が「管」という意味を表します。この単語には「船」というまったく異なる意味もあるのが興味深いですね。ちなみに「血管」についてですが、「静脈」はvein /veɪn/ (ヴェイン)、「動脈」はartery /ˈɑɚtəri/ (アーデリ)という別の言い方があるので、余裕があればこちらも覚えてみては?
■「白血球さん」の仲間「顆粒球」
実は「白血球」の仲間がたくさんいるのですが、漫画に出てきた主なキャラクターだけまとめてみました。それでもかなりの数になるので、気になるものだけで構わないですから、ぜひ拾って読んでみてください。まずは「白血球さん」、つまり「好中球」と同じ顆粒球の「好酸球」と「好塩基球」を見てみましょう。
「好中球」「好酸球」「好塩基球」についている「好」という訳、英語では-philの部分にあたります。これは「愛」という意味を表す接頭辞や接尾辞になります。philanthropist / fɪˈlæntθrəpɪst/ (フィランスラピストゥ)「博愛主義者」やxenophile /ˈzenəfaɪl/ (ゼヌファイウ)「外国人好きな人」などの単語に含まれているのも納得ですね。
■「単球」の仲間
次は「白血球」の別の仲間である「単球」を見てみましょう。漫画の中ではガスマスクに防護服を着たキャラクターですが、血管の外に出ると白いエプロンドレスで大なたを振り回す「マクロファージ」が中から出てきてビックリ! また、渋い執事のような格好をしたキャラクター「ランゲルハンス細胞」が、緑の制服を着た「樹状細胞」の仲間というのもなんだか驚きです。
説明にあるallergic reaction 「アレルギー反応」という表現は、ぜひ覚えておきましょう。「アレルギー」は英語ではallergy /ˈælɚdʒi/ (エァルジー)という発音なので気を付けてください。「アレルギー」と言っても英語では通じないので、「エァルジー」と言ってくださいね! 形容詞のallergic /əˈlɚdʒɪk/ (アルージック)も同様に発音に注意しましょう。
それから、「抗原」のantigen /ˈæntɪdʒən/ (エァンティジェン)と「免疫」のimmune /ɪˈmjun/ (イミューン)も覚えておくといいと思います。このあたりの単語まで覚えられたら、なかなかのハイレベルですよ。
■リンパ球の仲間T細胞
続いて「白血球」の別の仲間「リンパ球」を見てみましょう。「リンパ球」では「T細胞」の仲間がたくさん出てきます。マッチョ軍団の「キラーT細胞」だけでなく、ほかにもさまざまな役割を持った「T細胞」がいますので、まとめてみました。
「がん」はcancer /ˈkænsɚ/ (キャンスー)と言い、cancer cellで「がん細胞」という意味になります。transplant /trænsˈplænt/ (トリャンスプリャーントゥ)「移植する」という単語もよく使われますので、覚えておくと便利でしょう。名詞のときは、アクセントの位置がtransの部分になり、transplant /ˈtrænsplænt/ (トリャーンスプリャントゥ)「移植」となります。
■がん細胞と戦うNK細胞
残りの「リンパ球」の仲間も見てみましょう。漫画ではキャラが立っている「NK細胞」、筆者は好きですね。キャノン砲を抱えた少年キャラの「B細胞」も、大活躍をしたり、攻撃が効かずに退散したりと愛着が湧きます。実際の人体では、どちらもとても重要な役割を担っているんですよね。
先ほどantigen 「抗原」という単語を挙げましたので、セットでantibody /ˈæntibɑdi/ (エァンティバディ)「抗体」も覚えておくといいですよ。でも、どちらもanti-が付くので混同しないようにしましょう。
ざっと血液の仲間を取り出しただけでも、かなりの数になりました。キャラクターを通して、各細胞の役割を覚えると、体の仕組みの勉強になりますね。学生時代に習ったこともあれば、漫画で新たに得られた知識もたくさんありました。しかも、英語で楽しむと、医療や健康に関する英単語が一緒に覚えられるので一石二鳥です!
学習的にもお薦めのこの『はたらく細胞』、2021年2月から中国の国営中央テレビCCTVでも放送されたそうです。中国の国営中央テレビで日本のアニメが放送されたのは約14年ぶりとのことで、それだけ教育的価値のあるアニメだと認知されたということかもしれませんね。You must check it out! (超おススメです! )
話題になっているとニュースで見てから、たまたまアニメがやっていたので一度だけ見ました。
その回は、ガン細胞と戦い始めた所で、つい見てしまいました。
時間帯が合わず、その後は見ていませんが、教科書で文字中心で学ぶよりも楽しそうだと思いました。
機会があったら、マンガも読んでみたいです。
感謝してます。
りくりとりっぷホームページ:http://rikuritrip.net/