脳は簡単に自分の言葉やアクションに騙されるそうです。
以下、ネットニュースより抜粋。
「運気」と聞くと、非科学的なもの、エセ科学、スピリチュアル系、うさんくさいなどというイメージがあるかもしれません。しかし、運気が上がっているかどうかは、次の2つに落ち着きます。
1:出来事をどう解釈するか
2:出来事が起こる確率
それぞれ、心理学や脳科学、統計学の話がかかわってくるので、「運気」というテーマは、きっちりと学術的・科学的研究の対象となるのです。『世界の研究101から導いた 科学的に運気を上げる方法』を上梓した明治大学教授の堀田秀吾氏が、科学的に運気を上げるコツを紹介します。
■「自分はラッキーだ!」と思う
「私はラッキーなんだ!」
そう言っている人、本気で信じている人はたくさんいます。そして、本当にそういう人たちってラッキーでハッピーな人たちではありませんか?
これ、単なる思い込みに見えますが、単なる思い込み以上の結果を生み出すんです。
ケルン大学のライサン・ダーミッシュらは、被験者にゴルフのパッティングを10回させて、半数のグループAだけに「あなたのボールはラッキーボールです」と伝えました[1]。
すると、グループAのカップイン率は10球中平均6.75回、何も伝えられなかったグループBのカップイン率は10球中平均4.75回という結果が出ました。
Bのカップイン率よりも、Aのカップイン率が35%も高くなるという驚きの結果です。
もちろん、ラッキーボールと思い込むことで、ゴルフが上手くなるわけではありません。
この実験の場合、グループAは「ラッキーボールを持っている」と思い込むことで、グループBよりも、緊張などのネガティブな影響が軽減されるという心理学的な影響によりカップイン率が上がったと考えられています。
■自分に暗示をかけて、脳を騙す
「プラセボ効果」をご存じでしょうか。「プラセボ」は、「偽薬」を意味します。
効果のある成分を含んでいない偽の薬を飲んだ患者が、本物の薬を飲んでいると思い込み、実際に症状が改善するケースがあります。
これをプラセボ効果と言い、ハーバード大学医学部のヘンリー・K・ビーチャーの研究[2]に端を発する有名な現象です。
さらにプラセボ効果は、実際に薬を飲んだときにも影響し、その効能を信じている患者が飲むと、よりよい結果が出るという研究もあるのです。
たとえば、胃が痛いときに、単なる栄養剤でも、胃薬だと信じて飲めば、胃痛が治るということ。
もちろん、よくないことを信じても悪い結果しか出ないので、対象は「すべて」ではなく、その度合も「絶対」ではありませんが、よいと信じて取り組むと、よい結果が得られる確率が上がるのです。
ちなみに、プラセボ効果の反対で、薬の効果などを疑っていると、効果が減ってしまう「ノーシーボ効果」という現象まであります(ウォルター・P・ケネディーの研究[3]によって世に出た概念です)。
なので、よい結果が出るかはわからないけど、悪い結果にはならなさそうな取り組みなら、基本的には信じるに越したことはないのです。脳は、意外に単純で騙されやすいものですから。
ラッキーボールの例も、「自分が持っているのはラッキーボールだ!」と思い込むことで、カップイン率つまり、よい結果の確率が上がるという実例なのです。「自分は不幸だ」と思うと、幸運を見逃してしまう
幸運の学術的研究に関する第一人者と称されるハートフォードシャー大学のリチャード・ワイズマンは、「いわしの頭も信心から(信仰心が深いと、いわしの頭すら尊く思えてしまうこと)」は効果的な考えだと言います。
ワイズマンは、根本的に超常現象を否定する立場の研究者として、幸運と不運について客観的データと手法に基づいた、さまざまな実験や調査を科学的に行っています。
たとえば、ワイズマンが行った「人々は運の原因をほとんど洞察していないが、彼らの思考と行動が幸運と不運の大部分を担っていること」を明らかにした、こんな実験があります[4]。
ワイズマンは、自分を幸運と思う人と、不運と思う人を集め、両方に新聞を渡し、その中に写真が何枚あるかを探させました。
その新聞には、ページの半分を占めるスペースに、長さ5センチを超える大きな活字で、「これを見たと実験者に言えば250ドル(=約3万8000円)もらえる」というメッセージが書かれています。
要するに、ポイントは写真ではなかったのです。
結果、自称不運の人たちは写真を数えるあまりにこのメッセージを見逃す一方、自称幸運な人たちはメッセージを見つけて、予想していなかったラッキーな収入を得る傾向があったのです。
どうしてこのような違いが出るかというと、不運な人は幸運な人よりも緊張しやすく、その緊張によって写真以外の予想外の出来事に気づきにくくなると分析されます。
結局、自分が不幸だと思っていると、視野が狭くなって、せっかく幸運が転がっていても見逃してしまうということです。
この実験について、ワイズマンは英国放送協会(BBC)の番組でこう語っています。
「パートナーを見つけるために参加したパーティーで、よき友人に出会う機会を逃してしまう」
「特定の求人広告を見つけようと新聞に目を通し、他の求人広告を見逃してしまう」
写真を探そうと集中しすぎて、250ドルを失うのは痛手ですが、それだけなら笑い話にもできます。
■自分の周りをハッピーでラッキーなことばで、いっぱいにする
だから、まずは「自分はラッキーだ!」と思うところからはじめる。脳科学の研究でも、脳は複雑怪奇でいながらも、簡単に自分自身で発することばやアクションに騙されてしまうというとても単純なところがあることが分かっています。
本気で思っていなくても、声に出して「自分はラッキーだ!」と何度も脳に聞かせると、脳を騙すこともできるのです。言霊は迷信ではありません。
幾多の科学的実験で実証されている事実なのです。むしろ、ことばを自分を緊張やストレスから遠ざけるおまじないにしてしまいましょう。
「ことばはその人の世界観をつくり出す」というのは、アメリカの言語学者ベンジャミン・ウォーフが提唱したとても有名な言語学の理論です。ラッキーでハッピーな世界が自分の目の前に広がるように、まずは自身を彩ることばをハッピーでラッキーなもので埋め尽くすようにしてください。
<参考文献>
[1] Damisch, L., Stoberock, B., & Mussweiler, T. (2010). Keep your fingers crossed! How
superstition improves performance. Psychological Science, 21(7), 1014–1020.
[2] Beecher, H. K. (1955). THE POWERFUL PLACEBO. JAMA, 159(17), 1602–1606.
[3] Kennedy, W. P.( 1961). The nocebo reaction. Medical world, 95, 203–205.
[4] リチャード・R・ワイズマン(矢羽野薫 訳)(2004). 『運のいい人の法則』KADOKAWA.
堀田 秀吾 :明治大学教授
東洋経済オンライン
自分は運が良いと思い込むことは、幸運体質になるために必要なことなのですね。
感謝してます。
りくりとりっぷホームページ:https://rikuritrip.net/