いまだ誰にもわからない「意識の正体」だそうです。
以下、ネットニュースより抜粋。
私たちはなぜ眠り、起きるのか?睡眠は「脳を休めるため」ではなかった?生物の“ほんとうの姿”は眠っている姿?気鋭の研究者が睡眠と意識の謎に迫った新書『睡眠の起源』が、発売即4刷と話題だ。
(*本記事は金谷啓之『睡眠の起源』から抜粋・再編集したものです)
何が意識か
もし生物学の立場から、意識とは何かを分かりやすく表現するとしたら、次のようになるだろう。
私たちヒトが起きているときに存在し、全身麻酔や、睡眠の際に失われるもの。
ただ、この表現には、但し書きを添える必要がある。意識は必ずしも、全身麻酔や睡眠以外の状態、すなわち「覚醒」の状態に付属するわけではない。例えば、レム睡眠中には、意識がある場合もある。明晰夢は、その一例だろう。レム睡眠は、胎児や新生児のときに割合が多い。レム睡眠が、意識の原型だとする説もあるほどだ。
「意識」の実体についての考え方は、研究者によってもまちまちである。そもそも「意識」という用語が、かなり不明瞭だ。臨床医学では、「意識レベル」という言葉が用いられる。質問に正しく答えられるか、呼びかけに応答するか、あるいは痛み刺激を与えたときに反応するかによって、患者がどれくらいの「意識レベル」なのかを判断する。危険な状態に陥っているときや、全身麻酔の状態では、意識レベルが低下する。ただやはり、「意識レベル」の「意識」が何を指しているのかは、かなり曖昧だ。
生物学は、「意識」を明確に定義し、解き明かすことができるのか?
オーストラリアの哲学者であるデイヴィッド・チャーマーズは1990年代、「意識のハード・プロブレム」を提起し、大きな注目を集めた。彼の言う「ハード・プロブレム」とは、簡単に言うと「脳の電気活動が、どのようにして『主観的な意識体験』を生み出すのか」という問題である。
彼は、神経科学(生物学の分野の一つ)の観点から、脳の神経活動にもとづいて意識の基盤を明らかにしようとする試みを、「意識のイージー・プロブレム」に取り組んでいるに過ぎないと言った。覚醒時には、神経細胞が活動して情報処理を行っている。そのしくみは「イージー・プロブレム」であり、それをもとにどうやって「主観的な意識体験」が生まれるのかが、「ハード・プロブレム」であるとした。たとえ生物学的観点から、脳内で起きている神経活動を完全に理解したとしても(イージー・プロブレムを解決したとしても)、意識を解明したことにはならないというのだ。
そんな指摘を受けながらも、生物学の力で意識を解明しようとする試みは続いている。2012年には、クリックの名前を冠した「意識に関する第1回フランシス・クリック記念会議」が、イギリスのケンブリッジ大学で行われた。意識に関する研究を行う研究者たちが集ったこの会議では、「意識についてのケンブリッジ宣言(The Cambridge Declaration on Consciousness)」と題し、次のような宣言がなされた。
新皮質(大脳皮質のうち進化的に新しい部位で、哺乳類のみが有している)がないことにより、生物の感情状態を妨げられるとは考えられない。これまでに蓄積されてきた証拠は、ヒト以外の動物が、意図的な行動を示す能力とともに、意識状態の神経解剖学的、神経化学的、及び神経生理学的な基盤を備えていることを示している。このことは、意識の神経学的基盤を有する動物として、ヒトが特別ではないということを示している。すべての哺乳類と鳥類、タコを含めた多くの非ヒト動物が、意識の神経基盤をもっている。
金谷 啓之
現代ビジネス
分からないことはまだまだあるのですね。
感謝してます。
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